5/1(金)週公開の映画予告編を紹介していく。
コナンとマリオとSAKAMOTOとアギトがひしめき合うGW真っ只中。映画の割引デーである1日が基本的な映画公開日の金曜日となっているのは幸か不幸か。今週公開作品は比較的少なめ。しかし、大作もキッチリと用意されている。
5/1(金)公開作品
プラダを着た悪魔2
今週公開のビッグタイトル第1弾。前作から20年ぶりの続編公開とあってかなりの話題作。当時の興行収入はそこまで振るわなかったらしいのだが、円盤の売上は非常に好調で、結果的に誰もがタイトルを一度は聞いたことがあるほどの大きな作品に成長した。とはいえ私は前作を未見なので「待望の新作!」という気持ちにはならない。続編ものが横行する現代でたった1作観ておけばいいというだけなら全然予習した上で新作も観るが、今のところこの作品に対する予備知識は0である。
予告編については、主題歌がとにかくかっこいい。レディー・ガガ&Doechiiの『RUNWAY』。こんなにオシャレな曲に乗せてモデルのようなキャストが画面を支配するのだからワクワクしないはずがない。前作でも使われていたらしいマドンナの『Vogue』がかかる予告編第1弾も、音楽とカット割が見事にマッチしていて最高。予告における音楽の力はかなり強いので、映像と音楽のマッチ具合は期待値に直結する。ただ、アジア人差別丸出しの映像が先に宣伝映像として出てきたのは制作陣にはっきりとNOを突き付けなければならないなと。本編を観れば印象が変わるような場面でもなかったし、公開前の宣伝としてモロに差別映像を出せるその勇気は逆に感心してしまう程。これほどのビッグタイトルが差別丸出しのまま世に出てしまうのかという悲しみが深く、しかもそれを客を呼ぶための予告に使う辺りに倫理観が狂った人間が集って作っているのかなと邪推してしまう。「このシーンを先に出せば多くのお客さんが来てくれるはず」だと信じて差別映像を出すということは、中身の程度も知られてしまうのでは。未見の映画にああだこうだ言いたくないが、非常に残念である。
サンキュー、チャック
今週公開の2大巨頭、2本目は『サンキュー、チャック』。ホラーではなく感動方面のスティーヴン・キング原作作品。予告でも大々的にスティーヴン・キングの名が出てくるのだが、そこに連なる作品が『スタンド・バイ・ミー』『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』と、まるでキングが感動ものしか手掛けてこなかったかのようなラインナップ。なお、監督兼脚本のマイク・フラナガンの下には『ドクター・スリープ』が素直に出てきていてギャップに笑ってしまう。それもキングだろうに。フラナガンのフィルモグラフィがホラーばかりなので嫌でもホラー作品と向き合うことになる。6月末に公開される同じくキング原作の『ロングウォーク』は歩みを止めたら殺されるレースを描くスリラー作品のため、キングの名前の下には『IT』と『シャイニング』が名を連ねている。非常に作為的。
泣ける映画が大好物の日本人にはやっぱり分かりやすい予告編が一番。そして分かりやすさの極致は言葉で説明すること。『サンキュー、チャック』の予告編は爽やかな男声のナレーションが感情を自然と誘導してくれる。私的には最悪である。「彼の名前はチャック」なんて基本情報までテロップとナレーションの両方で示してくる。こちらを馬鹿にするにもほどがあるだろうに。目でも耳でも説明しないと上映前の観客はスマホに夢中になってしまうというのは理解できるが、個人的に嫌いなのでそこは許してほしい。ただテロップのフォントの青とオレンジは素直に綺麗。
ラプソディ・ラプソディ
いつの間にか結婚していた男が妻を探すサスペンスタッチな作品かと思いきや、映像は非常にコミカルでほろっと泣けそうなドラマ映画の色が濃く出ている。ただやはりナレーションの説明具合が最悪。最初は「ちょっと天然で絶対に怒らない男」という簡単な説明だけかと思いきや、ラストでナレーションが怒涛の説明をしてくる。「辛いこともうれしいことも、感じた分だけしあわせ」のテロップは一体何なのだろう。セリフは「感じた分だけしあわせ」の部分しか重なっていないし…。どうしてこんな陳腐な言葉をさらっと出してしまうのか。この映画のゴールがこのセリフみたいに見えてしまって、映画を観る気が削がれる。題材が面白いだけにノイズが多く残念な予告。ちなみに、後半の音楽はPaper Planesの『What I Know』。海外のインストゥルメンタル楽曲が日本映画の予告で使われるのはなかなか珍しいかもしれない。
ドランクヌードル
きた!ナレーション無し予告!やはりミニシアター系は予算の都合もあるのかもしれないが言葉で語り過ぎない分、趣があって非常に素晴らしい。しかもこの予告、テロップがキャストに重ならないよう妙に間が空いていたり、左上から斜めにくねくねと文章が出てきたりと、とにかく趣向を凝らしてくれている。テロップ大喜利として、映画の邪魔にならないレベルなのが非常に優秀。出てくるコメントも短すぎず長すぎずの丁度良い長さで心を掴まれる良い文章。最高!
バケモノ
特撮映画と聞いたら観に行かないわけにはいかない。しかもこの2026年にCGなし。何という強気な姿勢だろうか。タイトルは「バケモノ」のシンプルな4文字。そして予告編も非常にスタイリッシュ。バケモノと、それに襲われているらしき人達のアップ、意味深な街の風景、それらがフラッシュバックするような、物語の全容が一切把握できない潔さに感服。情報がなさすぎる。だが、本当はそれでいいのだ。映画の予告は語りすぎている。私はこれくらい無口で勝負に出ている予告編のほうが好きである。これは絶対観に行きたい。
幸せの、忘れもの。
ろう者を題材にした映画の予告編でナレーションが出てきたら世も末だなと身構えてしまったが考えすぎだった。テロップとセリフの字幕だけで物語を示してくれている。非常に静かだが耳の聞こえない妊婦、そして母となる主人公の苦しみがしっかり伝わってくる良い予告編。後半で使われている楽曲はVerde Pratoの『Neskaren kanta』。優しくも力強い歌声が主人公の気持ちとシンクロする映像が美しい。
5/2(土)公開作品
コスモ・コルプス
国産低予算SFというだけで五感が激しく反応してしまう。摩訶不思議な世界観だけでなく、映像も低予算ながら見どころのある場面が非常に多く、これは観なくてはと強い衝動に駆られた。予告編をひたすら観るのはこういう出会いを得るためである。都心の映画館にも行けるとはいえ頻繁に行くことはないし、そうなると劇場で偶然出会う予告もなかなか限られてしまう。シネコンを何周してもミニシアター系の映画の存在を知ることはできないのだ。しかも同日から監督の過去作も上映されるらしい。何とありがたいことだろう。日本でSF映画を撮るのは商業的にはかなり難しいかもしれないが、それでも映像としては絶対に希少性も価値もある。SF映画はとにかくダイナミックな映像のオンパレードにもなりがちだが、小規模な本作はそういったインフレには陥っていない。素朴だが奇妙な映像が次々と繰り出される予告編、編集云々を除いても単純に訴求力が強い。
サンタクロースたちの休暇
またナレーションか…とガッカリしたが冒頭だけだったので何とか耐えた。画用紙手書き風のテロップが非常によかったので、予告編のテロップは全てこれで統一してほしかったなあと。間に挟まれるコメントにもあったように、この映画はとにかくセリフが面白い。だからセリフのどこを切り取っても「おっ」と驚ける。ポンポンとセンスの光るセリフが飛び出す予告は、それだけで強い個性を放っていた。気になる映画。
猫を放つ
派手さはないが、長いやり取りをそのまま予告に使っているのはなかなか面白いなと。この映画は本予告の前に特報も公開されているのだが、そちらだと2人の歩く姿を後ろから撮ったロングショットが2連続で出されている。一方の本予告では中盤で素早くカットを切り替えて同じシーンを出しており、また違った印象を与えてくれる。やっぱり予告って何種類もあったほうがいいなと改めて感じた。
というわけで、今週は全部で9本。映画業界もGWに入っているおかげでかなり少なめ。これら以外に「SAMANSA presents 第98回アカデミー賞ショート傑作選」なる企画があり、ショート映画がいくつか公開されるのだが、予告編は全てが1つにまとまっているので、他の映画と並べて感想を書くのは違うかなと思い割愛。でもショート映画も結構面白そうなのでこちらも気になる…。ひとまず、今週マストは『バケモノ』かなと。1日の公開日は割引デー。GWで休みの方も多いと思うので、ぜひ観に行ってほしい。