【映画予告編感想】2026/4/10週公開

4/10(金)週公開の映画予告編を紹介していく。

今週はナンバーワンヒット間違いなしの名探偵コナン新作が控えており、対抗馬の他映画はこの週を公開週に選んだというだけで評価したい気持ち。ファン層が丸被りとはいかないまでも、単純に上映規模が初週ですらグッと小さくまとまってしまっていたりして、厳しさを感じる。『炎上』も観ようと思っていたのに、行きつけの劇場では初日から午前中の1回のみ。過去上映作品でまだ観ていない作品もちらほらあるのに、それらも一気に上映終了や一日一回上映に追いやられてしまった。しかし、いやだからこそ、それらの上映回数をこれから維持…更には増やしていくためにも、なるべく多く映画の情報を取り入れ、たくさん映画を観なければならない。というわけで今週はコナンと真正面から対決する勇気ある作品達の予告編を紹介していく。

 

 

 

 

 

4/10(金)公開作品

 

サトウキビは知っている

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シンプルに素材の強さが際立つ予告編。展開の多いであろうホラー映画は、やはり視覚的に興味を持たせやすい場面も多くなるようで、すごくワクワクさせてくれる予告だった。冒頭のテロップの出し方も良く、中盤から疾走感そのままに不気味なシーンが次々と飛び出す。最後に、「この悪夢は、甘くない」なる洒落の利いたキャッチフレーズがデカデカと出てくるホラー映画宣伝っぽさも最高。バランスも良くて文句なしの予告だった。実績が乏しいのもあるのか、賞やスタッフ・キャストの名前を出さず、展開のゴリ押しだけできているのも強い。これは必ず観たい。

 

 

ダーティ・エンジェルズ

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『007/カジノ・ロワイヤル』のタッグ再びという冒頭テロップの通り、マーティン・キャンベル監督の最新作である。主演はエヴァ・グリーンで、女性チームによるテロリストとの戦いを描くアクション大作。今週のド派手な映画枠はこの作品かもしれない。予告はマーティン・キャンベル監督らしいというか、とにかく爆発爆発アクションアクションという大規模なもの。各専門家の女性達が集う設定は、10年前なら過剰にもてはやされていたであろうが、それをこうも予告でサラッと流せる時代になったのは少し感動がある。爆発がたくさんで映像は派手なのだが、この映画のオリジナリティみたいなものは予告編からはあまり感じられず。本編が面白いことを願うばかり。

 

 

大丈夫、大丈夫、大丈夫!

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独特な邦題の韓国映画。国際芸術団に所属する母を失った女子生徒と鬼教官の心の交流を描いた作品のよう。予告編としては、セリフ量とテロップ量がちょうどよく、音楽もピアノの旋律が心地よい、「ハートフル映画だ」ということがしっかり伝わってくる出来。ナレーションがないのも好印象。ちなみに使われている音楽はReally Slow Motionの「Gooebye Lullaby」。海外の方だが、YouTube等に曲をいくつもアップロードしているようなので、気に入った方はぜひ聴いてみてほしい。

 

 

ヴィットリア 抱きしめて

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『サトウキビは知っている』に続き、アルバトロス配給の作品。こちらは打って変わって家族ドラマである。テロップやコメントの陳腐さは厳しいが、使用楽曲、Giglioの「Ammore Rom」が良いのでプラマイゼロといったところ。映像的に面白そうと思わせてくれる場面はほとんどなかったが、実際の映画はどうなのか。ただこの予告だけだと劇場に足を運ぶ気にはなれなかった。

 

 

1975年のケルン・コンサート

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実話に基づく系映画。天才ピアニストであるキース・ジャレットの伝説となったコンサートの舞台裏を描く1作。黄色背景に少女が走っているポスターが印象的だったが、周囲から子ども扱いされる彼女がキースの魅力に惚れ込み奮闘する物語のよう。音楽に詳しくないのでキース・ジャレットをまったく知らないのだが、これは観たいと思わせてくれる力強さが予告にはあった。観たら絶対元気をもらえるのだろうなという安心感に満ちた予告。後半で使われている楽曲はX-Ray Dogの『Stoned Crow』。1分に満たない曲ながらすごく楽しく気持ちの良い曲なので何度もリピートしてしまう。

 

 

脛擦りの森

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なかなかインパクトの強いタイトルの割に、映画自体は落ち着いた作品のようで、予告編も神秘に満ちている。どんな物語なのかほとんど分からないが、雄大な自然と謎の老人、そして青年の怯えた表情からは、どことなく不穏さを感じ取ることができた。こういう言葉少なな映画予告はかなり好きなのだが、老人メイクを施した高橋一生の声がいつもの高橋一生で笑ってしまう。岸部露伴シリーズの渡辺一貴監督なのでその縁もあるのだろうけれど、ここはもう少し本人だと気付かせない声で喋ってほしかったなと。岸部露伴シリーズは題材そのものの面白さが原作者の荒木先生から生み出されたものなので、渡辺監督が脚本も担当した本作は一体どうなるのか気になるところ。あと予告の途中で「ヴァイオリン演奏:福田廉之介」と、ちゃんと音楽に関するテロップを出すのが偉い。映画の音楽も手掛けている方なのか。調べたら1999年生まれ…若い…。

 

 

ハムネット

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今週公開の中では一番の大作であろう本作。おそらく静かな映画なのだろうが、とにかく予告編はパワフルに仕上げられている。「本年度アカデミー賞8部門ノミネート」「アカデミー賞受賞監督クロエ・ジャオ」「世界的ベストセラー小説の映画化」「プロデューサー スティーヴン・スピルバーグ and サム・メンデス」「不朽の名戯曲『ハムレット』は如何にして生まれたのか」などなど。ストーリーが頭に入らずとも物量でガンガン攻めてくるパワータイプの映画予告編である。誰しもが聞いたことのある名前が目白押し、とにかくフックをたくさんかけられるという意味でやはり大作は強い。映画自体は感動ドラマなのだろうなということしか正直伝わってこないのだが、それでも自然と感動へと導かれてしまうのだ。映画好きにとってはクロエ・ジャオという名を聞くだけで大体の雰囲気を察することができる気がするが、結果はどうだろうか。自分は公開に備えて原作を読み始めたものの、海外文学に慣れていないせいでまるで内容が入らない。SF小説も苦手なので、この小説がつまらないというよりは、単に邦訳されたものが駄目なのかもしれない…。

 

 

名探偵コナン ハイウェイの堕天使

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鬼滅の新作がない以上、今年ナンバーワンヒット間違いなしの毎年恒例劇場版名探偵コナンシリーズ最新作。昨年は国宝の大躍進もあり3位となったが、今年は対抗馬となる作品は今のところいないため(去年も国宝がこんなことになるとは誰も予想していなかっただろうが)、1位になるのではないかと私は予想している。順当ではあるけれども。コナン映画が原作でも活躍する大人気キャラをローテーション形式で中心に据える形を取ってもうしばらくだが、今回は原作ファン以外にはほとんど知られていないであろう千速がメイン。実は私もコナンの細部はほとんどうろ覚えのため、千速がどういう人物かほとんど憶えていない。そんなにわかにも優しいコナン映画、きちんとYouTubeに「入門編」なる基礎知識を丁寧に教えてくれる動画が上がっている。

肝心の予告編の感想だが、いつものコナン映画だな…というくらいで、特に言えることはなかった。

 

 

炎上

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長久允監督最新作。映像がとにかく個性的で、1分間の予告でも印象的なカットがバンバン飛び出してくる。トー横を題材にするというのも訴求力がありそうだし、若者ウケしそうな予感。森七菜も清純派イメージが近年どんどん崩れていって、更に演技の幅が広がっている気がする。ただこれだけアート的な雰囲気を持つ映画なら、予告はナレーションでの説明をしないでほしかった気も。サブカル的でもありながらきちんと社会問題に目を向けた作品であってほしいと思うが、実態はどうか。予告編はもう少し頑張ってくれてもよかった。

 

 

ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です! 第4幕

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本編は楽しみにしているが、このスピンオフは一切追えていない。ファンムービーだと思うので、予告編としてはかなりオーソドックスかつ安上がりな作り。新規ファン獲得というよりは、シリーズのファンに「この日に公開するよ」というお知らせ的な予告編だと思うので、特に言うことはない。

 

 

愛の挨拶

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岩松あきら監督による27分のショートフィルム。バンクーバー・アジアン映画祭2024の映像に続き、本編の短い予告が流れる構成だが、低予算のショートフィルムにしては編集にこだわっている印象。15秒ほどながら短くカットを割り、音楽と共に臨場感を掻き立ててくれる、なかなかの良作。これは本編も気になる。情報が少ない上にあらすじもまったく分からないのだが、そういう予告編を結局偏愛してしまうのでかなり好きになった。

 

 

ペリカン・ブルー 自由への切符(チケット)

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日本のアニメーションではまずお目にかかれない独特な絵柄、時折挿入される実写映像。映画館で観ていたら釘付けになりそうなほどインパクトのある映像がとにかく魅力的だった。訳は分からないけど「作画がすごい!」とついつい言いたくなる日本アニメに疲れてきている人にはぜひおすすめしたい。この脱力感さえ感じるアニメーションで、実話に基づくサスペンスをやろうというのだ。その気概をまず評価しないでどうするのか。アニメーションで魅せるというよりも演出の個性が際立つ作品になっているようなのだが、このいい意味でのゆるさが逆に新しい気もしている。話にも緊迫感がありそうなので期待。

 

 

4/11(土)公開作品

 

遠来 トモベのコトバ

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ドキュメンタリー監督の伊勢真一による、ミュージシャン友部正人を追った1作。監督のことも友部正人さんのこともまったく知らないため、そこまで映画には惹かれず。本当に彼の人生を映像にしたというだけのドキュメンタリーなのだろうか。劇的な出来事が起きる予感も、涙ながらに半生を語るような場面もないままの1分半は逆に新鮮かもしれない。ドキュメンタリー映画の予告は大体後半で「これ本当にドキュメンタリー!?」と疑ってしまうくらいフックのあるイベントを差し込んでくるので、静かな予告編で終わるのは意外だった。ただ、観ようとまでは思えないかな…。

 

 

五月の雨

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ちょっと待って共同親権ネットワークなる団体が制作した、離婚後共同親権制度への警鐘を鳴らす映画。ドラマとドキュメンタリーを交えてDV被害者の魂の叫びを映し出す。日本では映画というとエンタメの意味合いがまだまだ強いが、社会問題を多くの人に知ってもらおうという試みで映画を制作してくれる団体にはやはり頭が下がる。私はこの予告を観て離婚後共同親権制度なるものを初めて知り、己の無知を恥じるばかりである。予告編は盛り上がりとは無縁。ドラマパートは悲痛で、ドキュメンタリーパートは国会やデモのシーンなど、かなり政治色の濃い映画になっているよう。だがそうした人々の勇気ある行動はできる限り讃えたいし、この映画は観たいなと思った。知らない世界を覗けるのが映画の特徴の一つであるのだから、自分の知らなかった社会問題を題材にした映画はしっかりと見届けるべきだと思う。行きつけの映画館やCMくらいでしか映画の予告を観ない生活だと、こういう映画の存在は一生知らないままだったかもしれない。その週公開の映画予告編を一通り観るような面倒な人間だからこそ、こういった意義ある映画の存在に気付けるのだ。皆さんも予告、観ようね!

 

 

僕を呼ぶ声 TOKYO STRANGE TALE

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制作自体は数年前からしている(3年前に予告がYouTubeにアップされている)ようなのだが、今回が国内初上映とのこと。公開の背景があまり調べられなかったものの、予告編がとにかくエネルギッシュで面白い。やはりホラー系は映像のインパクトと題材のパンチ力が強いため、予告編映えするなあと。逆に落ち着いたドラマ系映画は予告だとどうしても展開が弱いように見えて、感情を動かすことが難しいのかもしれない。しかし、サスペンスホラーであるというアドバンテージを除いても、単純に予告編の作りが上手い。サブリミナル的に何度も挿入されるアイドルのステージがすごく効果的で、ドラマ映像の薄暗さとダンスシーンの妖しさが見事にマッチしている。音楽も「作曲賞・サウンドトラック賞受賞」とテロップが出るだけあり、かなり印象的。色彩の使い方も見事でトリップするような映像の妙でしっかりと心を掴む予告編となっている。これはぜひ観に行きたい。

 

 

焼け石と雨粒

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これまた低予算感たっぷりだが、主演の佐野弘樹の演技力が光る1作。撮影が良いのか、面白いカットが続いており、地に足の着いた恋愛ドラマの割にかなり刺激的な予告編に仕上がっている。デカデカと表示されるテロップも刺激的で、最後に「恋愛狂想曲75分」で締めるロックンロールな終わりにも感動。結局こういうかっこいいキャッチフレーズを躊躇いなく出せる映画は強いのである。75分というのも短くて良い。

 

 

今週はまったく時間が取れず、駆け足な感想になってしまった。ただ、他週に比べると予告編として優秀な作品はそう多くなく、味気ない週になっていた側面もある。名探偵コナン新作という巨大な競合に真正面から立ち向かっている勇敢な映画達だからこそ評価はしたいが、予告編だけでは何とも言えない作品が多く、非常に評価に困った。個別に良評価をしている作品も、他週だったら少し順位が下がるような出来だったかもしれない。今週ベストは『僕を呼ぶ声 TOKYO STRANGE TALE』。結局サスペンスやホラーなど、暗めの映画のほうが少なくとも予告編は面白く映る傾向にあるな、としみじみ。