映画『モータルコンバット2』評価・ネタバレ感想 ジャックス以外の全てが虚無

 

モータル・コンバット2(字幕版)

 

ポール・W・S・アンダーソン監督による1作目がなかなかの掘り出し物だったのに対し、ジョン・R・レオネッティ監督の2作目『モータルコンバット2』は何とも縮こまった作品になっていまっていた。その後もホラー映画を多く手掛ける彼の長編第1作となる本作。キャストもほとんどが入れ替わっているものの、物語は1作目の地続きという大胆な構成。前作で世界が侵攻されないよう試合に勝利したはずが、強敵カーンがルールを無視して人間の世界を襲撃してくる。そんなことが出来ちゃうんだという驚きもあるが、続編のスケールとしては展開に申し分ない。ただ、結局は一対一等の戦いに縺れ込むことが多く、「襲撃」という印象があまりないのが本音である。1作目はかなりB級映画だったが、これを観ると「いや1作目ってかなり頑張っていたんだな…」と前作を再評価したくなってしまった。

 

主人公のリュウは変わらずロビン・ショウが演じているものの、ライデンもソニアもジョニーもキャストが変わりかろうじて雰囲気を残すのみになってしまっている。それなのに平気で劇中でもイメチェンを披露するライデン。とはいえ、キャスト変更は諸々の事情もあるのだろうし、自分としては言うほど悪いとは思っていない。問題は各キャラの扱いが、1作目よりも格段にグレードダウンしてしまっていることである。1作目の時点で正直物語は取ってつけた感があるというか、そこまで話を意識するような映画ではなかった。だが2作目では個々の因縁がほぼ消失し、ライデンの家族物語に集約されてしまっている。リュウやソニアは単純に「世界に侵攻してきた怪物たちを倒す」ためだけに戦っているのだ。それは決して悪いことではないが、単純な正義感に駆られているだけの戦いはやはりドラマ性が乏しくなってしまっており、複雑なことをやってほしいわけでもないのだけれど、もう少し工夫は凝らしてほしいなと思ってしまった。

 

カーンがライデンの弟だったと明かす場面も、正直どうでもいい。確かに衝撃ではあるが、弟と戦わなくてはならない悲哀も家族のいざこざに巻き込まれたリュウ達の葛藤も描かれず、情報だけが開示される脚本が非常にチープ。一応カーンが兄を憎んでいることは描写されるものの、それ以上のものはない。ドラマとしてほとんど機能しておらず、この映画は1作目以上に物語性がない。ならばアクションはどうかというと、これも1作目に劣ってしまっている。カットを頻繁に割ることでアクロバティックさは失われ、おそらく最大の見せ場であろうリュウのモンスター化もCGの出来は良いとは言えない。これは予算や技術的な問題もあるのかもしれないが。ただ、予算で言うと前作の1.5倍はあるらしく、それならばもっと派手なことはできなかったのか…と悔やまれる。

 

前作より更に強い敵が現れたことを印象付けるためだろうが、ジョニーがあっさり死んでしまうのも辛い。前作でも彼のドラマはおまけ程度のものだったのに、早くも彼の物語が幕を閉じるのである。仲間の1人が倒されたというのは衝撃的ではあるのだが、それにしたって呆気なさすぎる。これがキャスト都合などなら分かるが、キャストは前作から交代しているのだ。新キャストを用意しておいてどうして開始数分でメインキャラを消すことができるのか。素直に敗北したくらいでもよかったはずである。ただ、ジョニーの代わりとして登場するソニアの相棒・ジャックスに関しては本当に素晴らしかった。初見時、「こんなやついたっけ?」と思わず1作目をまた再生したのだが、確かに彼は出てきていた(キャストは別人)。船に乗るソニアに置いていかれるだけの出番の少ない人物で特に戦うこともなかったのだが、そんな彼が2作目では鉄腕の男(しかも今回の戦いに備えているわけではなくただ単に鉄腕にしているらしい)として再登場。もうまったく意味が分からない。変すぎる。でもこういう変さが大好きなので、むしろもっとやってほしかった。ラストバトルで鉄腕を剥がされた時も衝撃。そもそも取り外し可能だったんだ…という驚きがあったが、別に取られても戦えることで2度ビックリである。あの鉄腕に何の意味があったのかまったく分からないが、無茶苦茶やってるなあと笑えたので個人的には面白かった。

 

セットの作り込みも1作目の出来には感心したが、2作目は特徴的な意匠などが排されていて、とりあえず暗がりや洞窟を作りましたみたいな印象になってしまっている。この点でもポール・W・S・アンダーソンの株が上がる。彼はその後ゲーム映画を山ほど手掛けることになるが、私たちの棲む世界とは別の魅力的な空間を作り出すことにおいて、やはり何枚も上手だったのだろう。本作はセットをまじまじと見られるような時間もなく、セット自体に奥行きも感じられず非常に残念だった。

 

総じて、1作目に感じられた良さがほとんど死んでおり、良かった点はジャックスくらいのものである。あんな特徴的なビジュアルをされたらジャックスにしか目がいかない。ラストバトルもルールを破った罰でカーンは人間のように赤い血を流す存在となり、カーンの敗北で父である神様も高次存在により粛清されるのだが、そんなことができるならルールを破って人間世界に侵攻してきた時点でやるべきだったのではないだろうか。脚本の整合性もあまりよく分からなかった。全然楽しくないわけではないのだが、結構残念な出来である。米国での公開から10年後に日本でDVDスルーという扱いの悪さも納得。