来月にリブート版の2作目が公開するということで、まったく知らないシリーズだったが一旦1995年の映画を鑑賞。原作のゲームの名前さえ知らず、調べてみると海外では今も人気の高いシリーズのようなのだが、日本では20年以上ほとんど流通していないようだった。なるほど自分がまったく知らないはずである。新作映画の予告は何度も映画館で鑑賞しており、リブート版1作目も当時映画館で散々予告を観た記憶があるが、結局未視聴のまま。そもそもあまりアクション映画に興味を持てない人間なので仕方ないのだが、評判は良いし人気も高いと聞いて新作を観る準備を始めた。
1995年に公開された『モータル・コンバット』とその続編は新作鑑賞にあたって特に観る必要はないらしいのだが、観ておいて損はない。しかもB級映画を数多く手掛けるポール・W・S・アンダーソン監督の初期作だというのだから、これはチェックしなければならないだろうと、U-NEXTを開いた。その結果、Filmarksでも★2.8というなかなかの酷評具合なのだが、私はかなり楽しめた。むしろ監督の作品の中ではかなり面白い方ではないだろうか。バイオハザードやモンスターハンターは正直ピンときていない(ながらもボンクラ映画として楽しめてはいる)のだが、この『モータル・コンバット』は素直に面白かった。弟の仇を追った主人公のリュウ・カンがいきなり魔物達との戦いに巻き込まれるという突飛すぎるストーリー。正直「もう既に人間側が9回負けていて、10回負けると人間界は魔界のものになってしまう」なるスタートからかなり人を選ぶ作風なのだが、そこからの怒涛のアクションはかなり見応えがある。
敵は魔物かつ人間離れした技を使ってくることもあるのだが、攻略法がないわけではなく、人間界の武術で充分に戦うことができる。それが逆に物足りないという意見も分かるが、私はむしろ素面アクションの戦いがこんなにしっかりと描かれていることに好感を持った。しかもBGMがいちいちかっこいい。リュウとサブゼロが戦っているシーンの音楽は感激ものである。緊迫感と迫力を兼ね備えた音楽に乗せて、VFXに頼り切らない重厚なアクションが展開される様は、当時のアクション映画としてもっと評価されてもいいのではないだろうか。ひたすら戦いが続くだけなのでドラマ性は低いが、気を抜いて観るには惜しい一作である。四本腕というアドバンテージを持ったゴローを金的で弱らせてしまう馬鹿馬鹿しさを持ち合わせつつ、本格的な殺陣できちんとこちらの心を満たしてくれるのだ。
また、セットの作り込みもとにかく素晴らしい。アクションのVFXにはやはり拙さが残り、スコーピオンの手から出る鞭なんかは令和の今に観るとさすがに酷いのだが、SFX等、手作りの品々の作り込みは目を瞠るものがある。魔界に磔にされているミイラ達やガイコツが模された荘厳な扉など、禍々しさ全開のオカルティックな装飾は世界観をしっかりと反映しており非常に魅力的。このセットの薄気味悪さが、映画が馬鹿馬鹿しくなりすぎないようにうまく調和を取っているような気がしている。話は荒唐無稽なのに、画面に嘘がなく、まったく滑稽に見えないのだ。ツッコミを入れようと思えばいくらでも入れるが、一度その目線を取っ払って加点方式で観ていくとすごく奥行きを感じられる。
そしてブリジット・ウィルソン演じるソニアがあまりに美しすぎる。人間界からやって来た黒ニットポニーテールの時点で充分美しいのに、戦闘の際は20世紀らしいタンクトップに姿を変える。魔物との戦いに薄着を選択するのは通常なら有り得ないが、この映画の魔物は言うほど魔物ではないので許されるのだろうか。彼女のドラマはあまり語られなかったものの、かつて相棒を殺された捜査官というバックボーンは魅力的だった。戦闘力も充分で男性メンバーと並び立てるレベル。そのため、最後にシャン・ツンの対戦相手に選ばれて捕まってしまうのがあまりにも虚しい。シャン・ツンもきっと女性だからソニアを選んだのだろうが、そんな理由で安易にヒロイン枠に落とすには勿体ないほど強く美しいキャラクターだった。もう一人の仲間であるジョニー・ケイジも軟派なハリウッド俳優というおちゃらけた男なのだが、倒した敵の前に自分のサインを書いたポストカードを落としていくなど、なかなか粋な演出が見られて面白い。彼に関してはもっとバックボーンを描いてもよかったのではないだろうか。
日本の各映画サイトでの評価が低すぎる気はするが、なかなか楽しめる映画だと思う。これより酷いアクション映画なんて散々ありますからね。まず1995年とはいえVFXやカット割でごまかさない辺りが素晴らしい。ボンクラ映画の最高打点を叩き出せる男、ポール・W・S・アンダーソンが監督していることもあり、趣のある演出もたくさん出てくる。原作をほとんど知らないので再現度に関してはまったく分からないが、とにかく世界観の作り込みは素晴らしく、その点で心に残る作品だった。
なお、原作のゲームに関しては以下の記事で詳しく解説してくれている。
これを読むに、そもそも原作自体がだいぶ珍妙な映画であるらしく、映画はむしろ真っ当すぎるのかもしれない。
最高のサントラはこちら。
続く2作目ではリュウ以外のキャストが刷新されているらしいのが残念…。

