私が間違っていました…!
『ハンドレッドライン 最終防衛学園』、シナリオも驚異的に面白かった…!!
前回、100日目に到達したところで一旦感想記事を書いたのだが…
その時点でシナリオに苦言を呈してしまったことを後悔している。現在、「2周目」を進め、ようやく再度100日目まで進行させることができた。正直、面白くなりすぎてドン引きしている。なるほど、1周目の100日間は壮大な前フリでしかなかったわけか…と、膨大なシナリオの量を前に感動さえ覚えている状況である。そもそも最初の100日間がエンディング001だと思ってたのに、その認識すら間違っていたことに驚き。
最終防衛学園の切り札であり、生徒達が100日間守り続けていたもう一人の味方。胎児の姿で消えない炎を蓄積し続ける彼を体に取り込むことによって、澄野は過去へと戻る力を手に入れる。その力でタイムリープして、2日目へと戻る…というのが2周目のスタート。「俺は本当に俺か…?」みたいなことを部屋の鏡を見て呟くシーン、もう存在すら忘れていたが、戻ってきた時には「そういうことか!」と驚愕した。
そこからの怒涛の展開はもう感激の嵐。1周目の記憶を持つ澄野は悲劇のエンディングを回避するために奔走する。1周目にはほとんどなかった「分岐選択」の要素がふんだんに用いられ、ワクワク感は増大。まずはSIREIバラバラ事件を防ぐために蒼月を犯行の夜に待ち伏せ。ここで蒼月を止め、彼を殺すか捕らえるかという重要な選択を迫られる。1周目では全く気付けなかった出来事に介入することができる面白さによって、既にこの時点で1周目に抱いたモヤモヤ感は消えていた。なお、蒼月は速攻で殺した。
それにより澄野はまだ犯してもいない罪で彼を屠った罪悪感を抱えることになり…かなりシリアスなルートを選んでしまったのかもしれないと緊張しながらプレイしていたのだが、私が最終的に辿り着いた結末はコメディチックなエンディングだった。インタビューで捨てエンディングのようなものはないと読んだはずなのに、ちょっと捨てエンディングっぽい匂いがしてそこは残念。明らかに正規ルートではないことが丸分かりの結末に辿り着いてしまった。
結論から言うと、超ツッコミシンドロームという、他の生徒を無意識にボケ続けさせてしまい、澄野自身は3%の確率で爆発してしまうという病に侵されるエンディングである。この奇病は最終防衛学園と一切関係ないため、100日目にラスボスを倒した後も澄野の症状は回復せず、次々と仲間達がボケ続ける。それに対して最後の分岐で「つっこむ」を選択したところ、耐えられなくなった澄野が爆発し、青空にデカデカと透けた彼が映し出される『ジョジョの奇妙な冒険』のラストみたいなエンディングになった。その後、一旦戻って「逆にボケる」を選択したところ、澄野が変なボケをかます別エンディングへとたどり着く。初のクリアで、とっても謎な2つのエンディングを回収したわけである。小高さんはXで「全てのエンディングを見る必要はないし、選択の末に自分が行き着いた結末を楽しんでほしい」と仰っているわけだが、自分のチョイスでこの未来に到達したかと思うとちょっと悲しい。俺の人生とは、一体…。
もちろんこの状況に至るまでにいくつか分岐を果たしたわけだが、一番苦しかったのは「焼肉」か「寿司」の選択で「寿司」を選んだら、その次の日から全員が喋れなくなってしまったことである。焼肉パートをまだ見ていないので同じ事象が起こる可能性は大いにあるのだが、これにより他のキャラとコミュニケーションを取ることが不可能になり、プレゼントに関する情報を約2週間更新することができなかった。図書館の本は1周目で全部読んでしまったし、学園の外に毎日出るのはさすがにプレイするこちらも疲れるし…と途方に暮れる結果に。ヒントなしでプレゼントを渡して微妙な顔をされるのも嫌だしなあ、と。また、終盤ちょくちょく澄野が爆発を起こすせいで10日間ほど時間が飛ぶため、ある意味ではRTA的なエンディングなのかなとも思った。1日に25日ずつ進めていこうと考えていたのに、この逆タイムリープによって予定より1日早くエンディングを見る結果に。
結局1周目で提示された謎を解き明かすことはほとんどできずに終わってしまい、このボリュームであと98のエンディングを解放していくのはなかなか骨が折れるぞ…と膨大な時間を溶かす覚悟を迫られているわけだが、2周目プレイは1周目に比べてはるかに面白い。というか1周目だと思っていた部分があくまで前半でしかなかった、という点に勝手に感動してしまっている。
澄野は過去を変えるために第二学園のメンバーと早めに合流し、それゆえに喪白もこがバトルに参戦することになる。これがまず嬉しい。嬉しすぎる。しかも最初戦いを渋っていたメンバーでさえ、割と簡単に参戦してくれているため、1周目ではあまり使う機会のなかった(だってSIREIになっちゃうんだもん)、今馬にも活躍の機会を与えられる。澄野によって異血が持ち込まれたことで敵も味方もパワーアップしている設定で、当然培ったスキル等はそのまま。しかし早い段階で澄野の知る未来とは違うことが次々に起こり、提示される分岐点も相俟って、予測不能な展開が次々と押し寄せてくる。「100日目待ち」の気分が続いた1周目とは異なり、自分の意志で決断し、迫り来る未来に翻弄されるシナリオがとにかく面白い。
前回は捕虜にした後に蒼月にこっそり殺されてしまったイヴァーが使えることにも感動。容姿が好きすぎるしバトルでも1マス移動すれば3ダメージ与えられるので、とにかく重宝させてもらった。これも決断によってはイヴァーを使えなかった未来が存在するのだろうか。だとしたらこのエンディングでよかったなとも思う。
1周目で自分がモヤモヤを抱えてしまった部分が、2周目によってかなり解消されて100日間(爆発によって数十日が消えたが…)がとにかく楽しかった。捨てエンディングっぽいとは言ったが、それでも超ツッコミシンドロームのことは70日目辺りから診断されていて、決してラストにチラッと出てくるおまけ要素的なエンディングではなかったのも嬉しい。おそらくどのエンディングにも、ちゃんとそのエンディングに至るまでの道筋があるのだろう。診断のために面影の部屋に入ることもできるし、面影が澄野の部屋にいるという珍しい光景も拝むことができた。別に面影と仲良くしたいとは思っていなかったのだが、各エンディングによってキャラクターへの印象もどんどん変わっていく予感がして、残りの結末が楽しみで仕方がない。
ちなみに分岐で選んだ選択は以下の通り。
・蒼月を殺す
・最終防衛学園を一時的に去る
・襲ってくる敵の攻撃をかわす
・食べたいのは寿司
・悪魔のメッセージを送る
・諦めてツッコむ(逆にボケるもその後で選択)
チャプターセレクトを見返していて、黒板の謎の脅迫とか全身防備で襲ってきた謎の人物とか、もう結構内容を忘れていることに気付いた。結局謎は全く解けないエンディングだったし、チャプターセレクトで見たら「コメディ編」と書かれていたので自分は人生をお笑いへと進める適性があるのかもしれない。
侵校生の言葉が分かるようになったりと、2周目のシナリオの面白さはかなり革新的。というか1周目が前フリなのだから当然なのだろうけれども。とはいえ自分はもっとシリアスな展開や世界の謎が明かされるラストに辿り着きたいので、まだまだやっていきたい気持ちが強い。むしろ最初に辿り着いたのがふざけたエンディングだったのは逆に良かったかもしれない。モチベーションはどんどん高められている。
100の分岐という壮大さもだが、何より2周目以降の「物語がどこに進んでいくのかまったく分からない」感覚にワクワクさせられた。噂ではホラーチックなものやハーレムになるものまでかなり多彩らしく、実際自分が辿り着いた結末も何一つ解決しないふざけたエンドだった。だが、人生とは実際そういうものなのかもしれないなあとそれっぽいことさえ考えてしまう。実際の人生は伏線が全て回収されるわけでもなければ、謎が全て明かされるわけでもない。分からないことは分からないまま、できないことはできないままに人間は生涯を全うすることになるのだ。私はこのゲームで奇病にかかり爆散する未来を選択してしまったが、その不条理さが逆に心地良い気もする。なお、チャプターセレクトで細かく過去に戻ることができるため、周回もそこまで面倒ではない。キャラクターの個性も強烈ながら、「100のエンディング」のボリュームも当然偽りなく、たった1つのルートを回収しただけでこのゲームが「異常」だと感じさせてくれるのは流石の手腕。とりあえず、早く侵校生や天体の謎を解き明かしたい。