『ハンドレッドライン 最終防衛学園』、無事に100日目まで到達した。11連休になったGWでガッツリ遊ぼうと企んでいたのに、自堕落な性格が災いして結局数日間しかプレイすることができず、100あるエンディングを回収どころか1つの結末に辿り着くのがやっとだった。100日目で一区切りというか、そこから少しずつ他のエンディングを回収していけばいいかなあと考えていたのに、この100日までがとにかくボリューミー。マクドナルドのサイズ感で挑んだのに、バーガーキングの一番デカいハンバーガーだったぜ…みたいな気持ち。遊び尽くしたと言うには程遠い状況なわけだが、とりあえず区切りがついたので、記憶が鮮明なうちに一旦感想を書くことにする。ちなみにがっつりネタバレをしているので、未プレイの方は少々気をつけていただければと思う。
・キャラクター
小高作品のプレイ歴を話すと、『ダンガンロンパ』、『スーパーダンガンロンパ2』、『レインコード』くらいである。なぜダンロンを最後までやっていないのかと訊かれれば、単に怠惰な性格が故。でも購入してはいるので、このハンドラが終わったら手を出そうかなと考えている。
そんな自分が小高作品の何に魅力を感じているかというと、やはり個性豊かなキャラクター達なのだ。各作品をプレイ済みの方々には言わずもがなだが、肩書きもセリフも性格も行動も、どれもがぶっ飛んでいて非常に面白い。この『ハンドラ』でも戦闘キャラだけで15人の少年少女がいるわけだが、全員が非常に濃い。真面目にストーリーが進んでいる時ですら、真面目に話す組、動揺するメンバー、茶々を入れるキャラ、ずっと状況が理解できず天然ボケをかましてしまう人などなど、とにかく会話劇が唯一無二で楽しい。15人(じゃない時もあるが)がそれぞれ状況をどう見ているか、どう動くか、何を喋るかと期待させてくれる手腕は見事で、ダンロンシリーズが好きならこういった掛け合いはきっと楽しめるはず。
とはいえ、まだほとんど分岐していない1周目なので各キャラクターのメインストーリーに対する重みは結構偏りがある。澄野の幼馴染にそっくりな希との話が軸になっているし、希は完全にメインヒロインの立ち位置なので、少なくとも1周目においては優遇されていると思う。その他で好きなキャラを挙げると、飴宮怠美。この名前だけでもう勝利を確信せざるを得ないようなネーミングセンス。それでいて所謂地雷系のイカれたハイテンションガール。こういう一見ぶっ飛んだキャラクターを見ていると、小高作品をプレイしているなあという感傷に浸れる。怠美は他のメンバーがポジティブになればなるほどダウナーになっていくのも面白かった。周りが幸せだと一歩引いちゃうよねという共感もあり。
あと双子のお兄ちゃんでシスコン・九十九今馬もかなり好き。しかも周りに対しては平気で毒舌を発揮。そのくせ妹を巻き込まないためにと結構中盤まで戦おうとしない。更には厄師寺を後ろから刺すなど、どんどん作品の狂気性を満たしてくれるキーパーソン。妹の過子との掛け合いが面白かったし、中二病じみた漆黒の翼を生やして戦う戦闘服状態もかなり好きだったがゆえに、戦闘要員となってから割と早い段階でSIREIボディになってしまったのが惜しい。もっと使いたかったな。
・ゲームシステム
基本的にはADVとSRPGの2パート。
ADVの操作性やビジュアルに関しては非常にダンロンに近い。そのためプレイ済の人にはかなり馴染みやすいと思う。とにかくテキスト量が半端じゃなく、情報量もとんでもない上にキャラ同士の掛け合いも楽しいため、そういう意味ではかなり満足感がある。会話パートは言ってしまえばただポチポチとボタンを押すだけなのだけれど、内容が結構楽しいのでワクワクしてプレイできた。大鈴木と凶鳥のやり取りが大体意味なくてかなり好き。
ところどころで横スクロールで敵に接触しないようにするなどのミニゲーム要素が挿入されている。これに関しては本当にお遊び程度だなあと。難易度もかなり低いし、基本的には会話を楽しみつつ、何度か挟まれるSRPGパートに夢中になる感じだと思う。
SRPGパートはノンストレスで楽しかった。キャラ毎に武器が違うのだけれど、そのどれもが個性的。回復役や遠距離攻撃メンバーなど、得意分野もそれぞれ違うため、「うわっ、こいつが死んだらヤバい…」とハラハラさせてくれる緊迫感が上手い。「こいつは攻撃範囲広いけどダメージ1なんだよなあ…」と悩む時もあり、その場合にはADVパートでパワーアップも可能なのだが、結局主人公の澄野を優先してしまう罠。この辺りの采配は分岐に関係しているのか…ギャラリーがとりあえず順番に登録されているところから判断するに、今のところは関係していなさそう。
蒼月は攻撃範囲が狭いけどダメージは3だからちょっと強い侵校生も一撃でいけちゃうなあとか、逆に川奈は範囲広いけどダメージ1かあとか…。バトル開始時のキャラクター配置はこちらでは選べないため、「えっ!この配置でこの2人しかいないの厳しくない!?」みたいなことも多々あり、結構頭を使うことになった。ただ、仮に敗北してしまっても、VOLTAGE300%でWAVEをやり直しできるので、むしろ負けてからが本番の時さえあった。
各キャラクターのHPが少なくなると自らの命を賭して「決死必殺」なるものを発動することが可能になる。これは要するに、普通ならVOLTAGEを100%消費して使う必殺技を、自らの命と引き換えに繰り出せるというもの。使うとそのキャラは死に、戦闘を離脱してしまうわけだが、殺せば殺すほどバトル終了後にボーナスポイントが加算される最悪の仕様のために、私はバンバン決死してもらった。次攻撃されたら死ぬからどうせなら散り際に花を咲かせてもらうかくらいの気持ちでキャラクターの命を弄ぶことができて非常に楽しい。しかも次のWAVEでは復活してくれるので、むしろポイント稼ぎにどんどん殺したくなってしまう。
ただ、模擬戦があるとはいえ、実際に敵とバトルする機会は限られているので、1周目の時点では物足りなさを感じてしまった。これだけバトルが魅力的なのだから、もっとバトルがしたい。この気持ちは2周目以降に解消してもらえるかもしれないので、まだ不満点とまでは言わないが、まあとにかくバトルをもっとしたくなるほどに戦闘パートが楽しかったということが伝われば幸いである。
・ストーリー
自分がゲームをプレイする際に一番重視するのがシナリオなので、ここに関してはかなり厳しめな評価になってしまう。全体的に「裏切られ待ち」みたいな時間がずっと続いていて、かなり息苦しかった。
これは『ダンガンロンパ』をプレイした時にも感じたことなのだけれど、単純にずっと世界観や防衛隊メンバーの置かれた状況、価値観がひっくり返ることが示唆され続けていて、それがなかなか起こらないモヤモヤにずっと支配されてしまっていたなあと。
何故か戦うことを余儀なくされた澄野達、しかし全てを知っているSIREIは早い段階でバラバラにされてしまい、結果100日目に何が起こるのかも分からない不安と絶望の中でストーリーが進んでいく。SIREIが隠し事をしているのは明白なため、どう考えても100日後にハッピーエンドが起こるとは思えず、次々に起こる出来事も仲間の死など陰惨なものばかり。侵校生との戦いの中で断片的に情報は手に入れるものの、真相に辿り着くとまではいかず推測の域を出ない推理をみんなで繰り広げる…。
『ダンガンロンパ』もほとんど同じ様子だったが、この真相になかなか辿り着かないシナリオがかなりもどかしい。戦いを拒否してきたメンバーを説得したりと要所要所で展開はあるのだが、だとしてもそもそもの「彼等はなぜ戦っているのか?」の部分が嘘臭すぎるために、どうもついていけなかった。もちろん好みはあるのだろうけれども。早くある程度落ち着ける真相っぽいものを出してくれ~と思うのだが、とにかく疑心暗鬼とギスギスが続き、気持ちが休まらない。キャラクターは個性的だが、背景や物語自体はそう斬新なものでもないため、ストーリーに関しては100日目を終えた今のところはやや残念である。
とはいえ、まだ明かされていない謎も多く(100日目までプレイしたのに全然明かされてないというボリュームが凄い)、そういう意味ではかなり期待できるというか。ここでああだこうだ文句を言ってしまうのは少し違うかなとも思うので、これから別のエンディングに期待したいところ。ただ、「そう来たか!!」という衝撃が走るような展開には今のところ巡り会えていない。『スーパーダンガンロンパ2』のラストなんかはかなりワクワクしたので、あのレベルのシナリオを期待しているのだが、どうだろうか。
・総括
総じて言うと、「100日目に辿り着いたくらいじゃ全然序盤で何も言えない!!!」というところ。一応100のエンディングがどれも意味あるものだとはインタビューで話されていたが、まあそれでも細かい分岐くらいだろうなと思っていたので、100日目でも全然謎が明かされない現状にはかなり驚いている。蒼月の野郎が全然話してくれなかったので…。
それなら100日終わったくらいで感想を世に出すなよと言われるかもしれないが、100日目まで進めてエンディングを一度見ればもう少し落ち着けると思っていたので許してほしい。自分は「過去に戻る」を選択して澄野だけ1日目に戻る選択をしたのだが、既に月へ向かったメンバーから不穏な連絡が届くエンディングで困惑している。確かに月が安全だというのは推測でしかなかったわけだが…。
またある程度エンディングを回収出来たら感想を書こうと思っているが、100個ものエンディング、どれほどの時間を費やせば回収できるのかは不明である。