『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』第4話~第6話 感想

超宇宙刑事ギャバン インフィニティ Blu-ray COLLECTION 1 [Blu-ray]

 

この感想は最終回まで視聴した後に振り返って書いたものであるため、各話が初見の方にはネタバレとなる可能性があります。

 

 

第1話~第3話はこちら。

 

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第4話「地底の要塞」

3話までの流れを踏襲した別地球のギャバン登場回ではあるのだが、事前に発表されていなかった蟻のギャバン、ギャバン・アーマイゼの蒸着は衝撃的だった。赤・銀・金のギャバンに続いて銅色の蟻のギャバンという多様性を打ち出している点が見事で、サプライズも効果的。ともすれば別次元の地球で新ギャバンが登場してばかりのルーティンに陥りそうな中で、意外性を打ち出し、しっかりと前3話と差別化が図られている。その理由には、脚本が山口宏に変更になったことも関わっていそうだ。

 

前3話はメインライターの冨岡脚本だったが、彼はこの番組で「戦う取調室」を意識していたという。実際前3話は、ギャバンの前で大暴れする犯人が目的や計画を一気に喋り(鴉麿は一部憎たらしい顔で黙秘権を行使していたが)、それに対してギャバンの面々が自身の想いや意見をぶつけるという構成になっていた。「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」というタイトルから冨岡が抽出したのが、刑事ドラマにおける「取り調べ」だったのである。第1話が弩城怜慈のキャラクター説明としても、ヒーローの在り方としてもかなり良かったために、私もこの「戦う取調室」には好意的な感情を抱いている。しかし、それだけでは少々マンネリ気味であり、第3話でメインとなる3人のギャバンが1周してしまった時点で飽きがきていたのも事実。そんな中で山口脚本は、取調室ではなく「捜査」の部分に着目しているように見えた。実際本格的な推理をしているわけではなく、結局は今回の悪役である大地深治が目的を丁寧に説明してくれるのだが、Aパートでは怜慈と有本と羽村によって現場の検分が行われており、これが前3話とは異なる見心地を生んでいる。

 

更に「アリ」の掛詞をふんだんに使った言葉遊び的な側面も面白く、有本の相棒を満足に務められないと嘆く羽村に対し、「今ありのままの自分にできること、それだけをやればいい。そうすれば、減らせるもんもある」と優しく接する怜慈の人間性を示すドラマもかなりグッとくる。というか、弩城怜慈はたった4話のうちに「何を言っても様になる主役像」を完璧に確立している。彼が番組にいてくれるだけで安心でき、存在感としては『ごくせん』のヤンクミに近いかもしれない。リーダー・指導者・ヒーロー、そういった中心人物に必要な人間性を兼ね備え過ぎていてもはや怖いくらいである。斬新なキャラ付けというわけではなく、単純に「頼りになる人物」の要素を大量に投入したキャラクターなのではないか、という話は3話感想時点で既にしたが、それにしたってこの説得力は何なのだろう。しかも脚本家が変わってもこの凄味を出せるのだ。演じる長田光平の魅力も大きく寄与しているのだろうか。

 

また、ロボ戦も引き続き、「巨大であることにこだわらない」のが特徴的。第3話のタマもそうだったが、今回もコスモギャバリオンより敵が作ったメカのほうがはるかに巨大で、むしろそれを下から突き上げて破壊するという戦い方。巨大ロボVS巨大怪人(もしくは敵の巨大ロボ)というスーパー戦隊の構図を見事に破壊し、それでいて見応えのある映像になっている。カメラワークの妙、ロボや敵ではなく戦いの起きている空間を捉えたような画作りがとにかく面白く、少なくとも私にとってはこの番組のロボ戦はすごく魅力的なものになっていた。というわけで第4話は、いろいろな意味でこの番組の可能性や底力を感じられるエピソードだったと思う。放送当時はかなり楽しめたし、まさか毎週面白ギャバンが出るのか!?とまで期待していた。まさか既にインフィニティ、ブシドー、ルミナスの3ギャバンローテーションが始動していたとは露知らず。

 

 

第5話「刀と銃弾」

第2話のΛ回は刹那が「自分のために生きる、自分のために戦う」というアイデンティティを確立させる物語だったが、Λ回パート2の第5話は刹那と天羽の関係性を深掘りしていく。自分の上司であり、大切な人と瓜二つでもあり、刹那にとって天羽は誰よりも特別な存在なのだろう。そんな天羽が誘拐されてしまうが、上層部からは待機を命じられる。一度は命令を素直に受け入れる刹那だったが、考え直し、罠と知りながら敵から送られた座標へと向かう。つまり誰かからの命令よりも、自分自身の感情を優先したのだ。話の筋書きは非常に綺麗でそつなくまとまっている印象だが、テーマとしては第2話のリフレインでしかなく、しかも第2話に続き派手さのない仕上がりになってしまっている。Λ回は悲しみを司るヒソオエモルギアで蒸着するブシドーが軸になることもあってか、比較的落ち着いたエピソードが多いのだが、それがどうにもうまくハマっていない印象を受ける。落ち着きすぎていて、地味なのだ。フルメタル天羽と呼ばれ犯罪者から恐れられつつ、同僚からは煙たがられる天羽が、刹那の前では強炭酸をグイッと飲み、「スカッと逮捕」と微笑ましい発言をする辺り、彼女の刹那に対する信頼度は相当高いのだろう。また、刹那にとっても言うまでもなく天羽は大切な存在。というように、最低限の会話で関係性をはっきりと示す脚本は見事なのだが、それが含みあるものと言えるほど感情の機微が描かれているわけではなく、キキコトとの対照性くらいの役割しかないのが勿体ない。

 

また、エモルギア密売を取り締まる好機かと思いきや、犯人はただの刀剣マニアだったというオチも少し雑で、そこから刀剣マニアのメデル・デ・カッターナの個性的すぎるキャラで物語にインパクトを持たせようとしているのだが、Λ地球エピソードとしては彼の存在が明らかに浮いている。決して嫌いなキャラづけではないのだが、侘び寂びの効いたエピソードにこの馬鹿馬鹿しさは馴染んでいない。ただ、逆にカッターナの阿保らしいキャラクターがなければ、この回は相当地味になってしまったのではないか、という危惧もある。良くも悪くもカッターナのキャラが強すぎるのだ。思えば、加藤監督の第3話と第4話では犯人は比較的人間寄りだった(第4話はそもそもΣ地球人だったが)。第5話を監督した山口監督は大爆発とインパクトの強いキャラづけが特徴だと私は考えているので、そういう意味では非常に山口監督回としての色が濃いエピソードなのかもしれない。鴉麿の面白悪役っぷりを素直に楽しめたのだが、3,4話で比較的控えめだったゲストの個性がここにきて変な方向に爆発し、うまくノレなかった…といったところだろうか。

 

今回は初の樋口脚本回だが、怜慈の資料課所属という側面にフォーカスしていた印象もある。序盤で大量の資料を運ぶ怜慈を描き、上からの命令で忙しくしている刹那と、公的には資料課という窓際に所属しているため自由に動ける怜慈を対比しており、設定をうまく利用しているなと唸った。でも、怜慈達が資料課所属という点は第1話からもっと大袈裟に描いてもよかったのかもしれない。要は怜慈と大佐はVIVANT(別班)なのだから、資料の整理でこき使われ、周りからは完全に無能扱いという描き方も面白かっただろう。一応、第1話で店員に「資料課の方なんですね」と笑われる一幕はあったし、日々ワニパトが怜慈達をイジってはくるのだが、台詞だけでなくもっと映像として「資料課」の側面を見せてほしかったなあと。

 

総じて、かなり地味な上に別になくても良いエピソードくらいに思ってしまうのだが、刹那と天羽のことを「刀と銃弾」と表すサブタイトルのセンスには脱帽。

 

 

第6話「怪盗フェイド登場」

遂にやって来た、森地脚本回。私は冨岡組の中だと森地夏美脚本が一番好きで、番組が『ブンブンジャー』の座組であると明かされた時から、彼女の担当回を待ちわびていた。『ブンブンジャー』ではあまり特徴的なエピソードがなかったからこそ、今回は何か大暴れしてくれないかなと期待していたのだが、初登板でまさかのキキコトを超える魅力を放つキャラクターを出してくるとは。怪盗フェイド、恐るべし。魅力的という意味では弩城怜慈と対を成す存在と言えるかもしれない。弩城怜慈は自分の思いや感情、時には他人から預かった思いや感情を人にぶつけるが、対して怪盗フェイドは自身の想いを内に秘め、多くを語らないままに自身の信じる正義をたった一人で遂行する。Ι地球のゲストキャラながら、番組の主人公と双璧を成すほど素晴らしいこのキャラクター造形。私は怪盗フェイドにどっぷりとハマっている。

 

ただ、エピソードとしては怪盗フェイドに全振りしていて、他が弱い。第3話ではキキコトの一般人っぽさが打ち出され、その等身大の姿が面白かったため、第6話は初見時かなり評価が低かった。改めて観返しても、まだルミナス登場が2回目なのに、キキコトに匹敵する新キャラを登場させ、しかもこんなに活躍させて大丈夫なのかなという気持ちは残る。しかし、それだけ尺をじっくりと使ったからこそ、怪盗フェイドはここまで魅力的なキャラクターに仕上がったのかもしれない。山口監督らしい個性的な味付けもカッターナとは違って良い方向に働き、キザな怪盗だがただの悪人ではないという謎めいた人物像がはっきりと打ち出されている。この番組はキャラクターの成長性こそ乏しいものの、「このキャラクターはこういう人物です」をしっかり打ち出してくれるので、観ていて気持ちが良い。単純明快で分かりづらさがないのだ。もちろんそれは諸刃の剣でもあるのだが。

 

また、第6話の面白いところはコスモギャバリオンが救助活動にのみ使われるという点。本来巨大ロボは戦ってなんぼのはずだが、今にも崖下に落ちそうな宇宙船をクレーンで釣り上げることが物語の山場になっており、これまでのニチアサとはまた違った側面のエピソードと言える。ただ、宇宙船内が明らかにロケバスなのがさすがにキツい。創意工夫とかそれ以前の問題である。もう1つ、私はニチアサのやけにエピローグが長い回がかなり好きなので、バトルが終わった後に5分以上の尺を使ってフェイドがエムの父親から宝を奪い、数日後にエムと母親が母星に帰れるよう匿名で宇宙船を手配するシーンがしっかりと描かれているのがとにかくツボだった。ただ、そこに尺を割いたせいでキキコトが第3話でせっかく提示してきた魅力が犠牲になっているのは惜しいところ。ただ、この後もフェイドは本当に味のある活躍しかしないので、フェイドというキャラクターを初登場でここまで練り上げていただき、本当に森地脚本には感謝しかない。『オメガホーン』が終わったら怪盗フェイドを主役にしてどうにか1年番組をやってくれないだろうか。

 

 

最後に

ということで、第4話から第6話の感想。当時はまさか3ギャバンのローテーションで話を回していくとは予想していなかった。しかも登場する異星人こそ特徴的なものの、舞台となる地球は私達の知る地球とほとんど変わらないため、視覚的にコスモレイヤーを表現できておらず、まだ一桁話数なのに番組最大の魅力である別次元の地球の事件を解決するという設定がうまく活かされていないようにも感じられた。もちろん当時はまさか半年で終わるなどとは考えていなかったため、『ブンブンジャー』も2クール目まではかなり進みが遅かったし後半に色々と化けるのだろう、今はそのための仕込みの時間なのだろうなと期待していたのだが…。蓋を開けたら凄い勢いで話が収束していったので驚いている。アーマイゼ回みたいな各地球の面白ギャバンを毎週出してくるとかだったらもっと楽しめたのに…。

 

 

第7話からはこちら。

 

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