MCU映画37作目にして、フェーズ6の幕開けとなる本作『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』。MCUのフェーズを気にしてる人はもうだいぶ減っているような気がするが、公式からはMCUリセット計画なんてものも飛び出しているし、今年は『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』と『サンダーボルツ*』もあったりと、何かと供給はされていて話題には事欠いていない印象がある。未見だがドラマ版の『アイアンハート』も配信されていたり。まだまだ世界観を拡張し続けるMCUだが、満を持して登場したのがヒーローチームのファンタスティック・フォー。MCUとは関係なく既に3作の映画が公開されており、邦題『宇宙忍者ゴームズ』としてアニメも放送されていたり、何より最古のヒーローチームだったりと本国でも日本でもかなり知名度の高い面々がようやくMCUに参入。前作『サンダーボルツ*』のラストカットで彼等の乗る宇宙船が登場したことに歓喜した人間としては、とにかく期待値が高かった。仕切り直しを何度も強いられ続けているMCUの逆転劇の幕開けとなり得る作品という印象があり、本国での評価もかなり高いということで肩の力を抜いて観ることができたのだが…正直今一つ物足りない映画となってしまっていた。
まず良かった点から。とにかく映像と音楽が素晴らしい。レトロフューチャーを意識した世界観は今までのMCUにない新たな独創性をしっかりと提示していて、私たちの世界と少しズレてはいるし、これまでのMCUの世界とも違うことを意識させつつも、かなり魅力的な世界観になっていたように思う。ファンタスティック4が乗る車一つとっても、レトロと可愛さが絶妙なバランスで同居していて、セットにもこだわりが感じられる。現代人の感覚からすると古めかしく思える水色のスーツも、あの世界観だと違和感がない。映像に彩りを加える音楽も気持ちを高めてくれていて、メインテーマに限らずとにかく印象的なものが多かった。ファンタスティック4がヒーローとして、あの世界の代表として息づいているということの提示はすごく上手くいっていたように思う。宇宙やマルチバースへと拡張していったMCUが、これまで手をつけていなかった領域に踏み込んでいった点は素直に評価したい。
また、アクションシーンも圧巻の出来。ヒューマン・トーチが起こした炎の波を潜り抜けるシルバー・サーファーの迫力は凄まじかったし、巨大な人型ヴィランのギャラクタスとのラストバトルはさながら怪獣映画。ギャラクタスが海から上がってくるシーンで、足元の地形が崩れ、木が倒されて海水がどんどん陸に入って来るなどの細やかな演出が怪獣好きの自分にとっては堪らない。予告でも使われていたギャラクタスの影を映す演出や、高層ビルが立ち並ぶ中をドシンドシンと練り歩くギャラクタスのカット。巨大な足が街を蹂躙していく様に興奮が止まらず、IMAXなどでなく通常の劇場で観たことを後悔してしまったほど。思えば、最初にシルバー・サーファーが地球にやって来た時の、空から火の玉(隕石?)が降って来るシーンもかなり良かった。とにかく印象に残るシーンが目白押しで、他のMCU作品にはないものが観られたという喜びは大きい。
反面、物語に関してはかなり不満がある。自分の中ではアベンジャーズが10年以上をかけて繰り広げてきた物語を、彼等4人がたったの2時間で駆け抜けてしまったようなイメージ。能力を手に入れ、チームを結成し、救助活動やヴィランとの戦いに勤しみ、人々から称賛され、チーム内で分断が起こり、人々から憎まれ、和解し、敵と対話し、世界を巻き込んだ戦いへと身を投じる…などなど。このファースト・ステップ感。タイトルがかなり上手く物語の内容を端的に表していると思ってしまった。否定的な意味で。
何より、映画の中では4人の人物像が完成されすぎてしまっている。彼等はMCUでピックアップされてきたようなキャラクターとは違い、時に間違えることはあっても4人のチームワークで最終的に一丸となって正しい方向へと進むことができる高潔な人物達なのだ。正にヒーローであり、セレブリティであり、地球の代表。ちょっとした喧嘩はあっても、冷静になればすぐに解決できてしまう。誰一人犠牲にしないし、何か一つを選ぶようなこともしない。世界も大切な人も、全てを守り抜く大切な方法へと一直線に突き進み、世界中も彼等を認めているからこそ、世界規模の節電なんて荒唐無稽な計画にも協力してくれる。スーパーパワーの持ち主ではあるけれど人間性は破綻している…なんてキャラクターも多かったMCUではかなり異質で、同時にその異質さと行儀の良さこそが物語にダイナミズムを生まない足枷にもなってしまっていた。何と言うか、割とトントン拍子に事が運んでしまう。誰も彼もが協力的なので、余計な歪みが生じる隙がない。4人の人間性は完成されてしまっているがゆえに、成長譚や葛藤もないまま、ただ「世界を救う」だけの話が進んでいく。
だからこそ、逆説的に精神面で変化のあるシルバー・サーファーがすごく魅力的に見えた。ファンタスティック4とは異なり、自らを犠牲にすることで世界を守った人物。彼女と4人の対比構造はしっかりと描かれていたのだから、もっとドラマティックに描いても良かった気がする。誰一人犠牲にしないというファンタスティック4の気高さは、これまでのMCUにない高潔さだったし、かなりオリジナリティ溢れる部分だったので。
ということで、全体的にはやはり物足りないというか…。せっかく特殊能力持ちの4人なのに力を活かすシーンが少なかったのも残念。リードはもっとたくさん伸びてよかった。ギャラクタスに引き伸ばされて苦しむシーンはかなり面白かったけど、日本を代表するゴム人間くらい暴れてくれてもよかったのではないだろうか。移動と遠くのレバーを引くくらいでしか使えてなかったのは非常に勿体ない。スーの透明化とかはギミックとしてうまく使えていたけど、ヒューマン・トーチは逆に使いすぎな感じもあった。シングに関しては全然怪力を披露する場面がなくて残念。子ども達の前で車を持ち上げたシーンがピークだったかも。あとシングの淡い恋心みたいな描写も、もう少し掘り下げてほしかったなあと。
期待値も高かっただけに割と肩を落としているのだが、ファンタスティック4がこういうチームなんですよというのは上手く描けていたと思うので、これからアベンジャーズ達と合流してどんな化学反応が生まれるのかは非常に楽しみ。最後にはドクター・ドゥームが出て来たけれど、もうロバート・ダウニー・Jrが演じることは皆知っているわけだし、顔を出しても良かった気がする。それともまだ何か他に仕掛けがあるのか…。


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